瀬戸の染飯(そめいい)とは、東海道に面した上青島付近の茶屋にて古くから販売されてきた、いわば“おむすび弁当”のようなもの。黄色の正体はクチナシの実で、もち米を蒸した強飯(こわいい)をクチナシの実で黄色く染めてすりつぶし、小判の形などに薄く延ばし干してつくられています。乾燥したクチナシの実は消炎・解熱などに効果の期待できる漢方薬として知られており、長きに渡り歩き続ける旅人にとって、足腰の疲れを癒すと評判の食べものだったと言われています。旧東海道沿いにある「千貫堤・瀬戸染飯伝承館」では、染飯についての歴史や資料のほか、江戸時代の初め頃にこのエリアに造られた大きな堤防「千貫堤(せんがんづつみ)」に関する歴史を学ぶことができます。
葛飾北斎画 藤枝(瀬戸染飯)(藤枝市郷土博物館所蔵)
茶屋で染飯が売られている様子は北斎の浮世絵にも描かれています。
令和2年に認定された日本遺産「日本初『旅ブーム』を起こした弥次さん喜多さん、駿州の旅」の構成文化財のひとつにも位置付けられています。