朝比奈大龍勢(あさひなおおりゅうせい)は2年に1度、10月に行われる岡部町朝比奈地区の伝統行事。龍勢とは火薬を詰めた筒を竹竿に結び打ち上げるロケット花火のことで、白煙を上げながら一気に上昇していく姿は、まるで龍が昇天していくようです。この行事のルーツは戦国時代の狼煙(のろし)が発展したものではないかと考えられていて、全国でも5か所でしか見ることができない珍しい伝統文化です。朝比奈地区では、地域ごとに「連」と呼ばれる13のチームが結成され、龍勢はその連ごとに制作されます。連ごとに火薬の配合や炭の原料、吹き筒の素材は異なり、その製法にマニュアルはなく、口伝で大切に引き継がれています。各連では毎回、趣向を凝らした龍勢を制作しては、その高さや美しさを競い合っています。当日は昼打ちと夜打ちの2種類の龍勢が打ち上げられ、昼打ちでは、白い煙を吐きながら空高く登っていく勇壮な龍勢の様子を、夜打ちでは、秋の夜空を彩る幻想的な龍勢の様子を楽しむことができます。